猫も基本的に人間とほとんど同じ病気にかかります。肥満によるいわゆる生活習慣病(糖尿病、肝臓病、関節疾患、排尿困難、尿道閉塞など)には特に注意が必要です。又一般的に高齢(7歳齢以後)になると腎臓関係の病気が高確率で発症すると言われていますので、おしっこの色や量にも注意を払いましょう。

軽い症状例
通常室内での飼育で認められる症状として、目やにがでる、鼻水が出る、食欲がなくなる、嘔吐する、発熱、下痢便、咳が出る、など時々認められますが慌てずにまずは原因を考えてみましょう。
餌の種類を変えた いつもより多く餌を与えた(盗み食いをした) シャンプーをした 急に外気温が下がった など思い当たる事があれば原因を取り除き1~2日様子を見て回復しないようなら獣医さんに診てもらいましょう。
ただし嘔吐が繰り返される場合などはすぐに獣医さんに診てもらいましょう。(猫は毛玉を時々吐いて胃から出します。これは病気ではないので慌てないように)

次に個別に皆様に知っておいてほしい病気についていくつかピックアップしましたので、参考にしてください。
1 肥大型心筋症
2 腎臓関係の病気
3 生殖器の疾患(前立腺、精巣の腫瘍、乳腺腫瘍・子宮蓄膿症)
4 皮膚病
5 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

その他
〇 予防注射について

 

それでは、簡単に説明していきましょう

1 肥大型心筋症
中~高齢の雄猫に多く発生しますが、1歳未満の若齢でも発生が認められています。発生しやすい品種があり、メイクイーンや我猫のラグドールに多く発生すると言われ、遺伝病として一部考えられています。
詳細については、次の別サイトにわかりやすく掲載されているので興味ある方はご覧ください。
症状:無症状から元気がない、突発性の発咳、呼吸促拍、開口呼吸、元気消失、後肢蹌踉、後肢麻痺、不整脈などいろいろな症状を示します。治療についてはそれぞれの症状に応じた内科療法を行います。予後については、後肢麻痺などの症状を示した猫は治療後の予後は非常に悪いようです。一方症状がみられない例では比較的良好で生存中央日数は1830日以上と報告されています。
残念ながら、現在日本で飼養されている猫のなかでもラグドール種にはこの遺伝子を保有した個体が存在していると言われています。遺伝子を持っていても必ず発症するわけではありませんので心配する必要はありませんが、このような遺伝病を持った猫が居ることを知っておいていただければ愛猫の長生きの手助けになるのではと思います。ちなみに我家のお母さん猫(サクラエレナ)の遺伝子検査の結果は陰性ですので安心ですよ。

2 腎臓関係の病気
腎臓が障害を受けその働きが失われると老廃物が体内に残り始めます。このように腎臓の機能が低下した状態を腎不全と呼びます。一方腎臓病とは実質自体の病気のことで糸球体腎炎など多くの種類があります。猫に特に多く認められるのが慢性腎不全です。原因は様々ですが一般的に7歳を過ぎると発生頻度が高くなります。症状は多飲多尿が認められ、更に進行すると尿毒症へと移行します。病変の悪化に従い貧血や高血圧、食欲不振、元気消失、体重の減少、被毛の失沢、嘔吐、下痢、便秘、低カリウム血症などが認められるようになります。原因は多様ですが病変は同じ変化をたどることが多いので腎不全として対応していくことになります。腎臓機能は高齢になると治療しても元に戻ることがないので、腎臓の負担を軽くする食事療法等を行うことになります。低蛋白なフード、それにリンとナトリウムの制限が必要になります。又脱水症状が認められる場合は定期的な補液が必要となります。
このように症状が重くなる前に7歳になるころから要注意と考え、各メーカーから発売されている専用のフードに切り替えていきましょう。
また、次に下部尿路(膀胱及び尿道)の異常も猫ではよく認められる疾患です。色々ありますが猫特有の特発性下部尿路疾患について簡単な説明を加えておきます。
単一の原因は知られていませんが濃い尿の産生、ストレス、食事内容、肥満などが考えられています。症状も様々ですが、血尿や排尿困難、頻尿、排尿痛、中には尿道閉塞を示します。
いつもより長い時間トイレで排尿姿勢をとったり、頻繁にトイレに出入りしたり、排尿時に声を出して鳴いたりしないか普段からよく観察しましょう。更に元気消失、食欲不振、嘔吐などがみられる時は尿道閉塞による腎不全を起こしている可能性が高いので、早急に獣医さんに診てもらいましょう。
尿道閉塞がない場合は、内科療法、食事療法、ストレス除去などを行います。通常で出来る事は尿石あるいは結晶尿の発生を抑える療法食を与え、少しでも水分摂取量を増加させるため、水分含有量の多い缶詰タイプの療法食を併用しましょう。ストレスがあるかどうかを探すことはなかなか難しい事ですが、まず高い場所でゆっくり静かに眠ることができているか、運動・行動が制限されてないかを確認してみて下さい。

3 生殖器の疾患(腫瘍・子宮蓄膿症)
雄猫では、老齢になると前立腺や精巣に腫瘍ができることがあります。雌猫では、乳腺腫瘍や子宮蓄膿症が認められることがあります。発生率は年齢の経年と伴に増えていきます。乳腺腫瘍の場合、犬ですが最初の発情前に避妊手術を行った犬では発生率が0.05%であるのに対し、初回発情後に避妊手術を行った場合は8%、2回目発情以降に実施した場合は26%となっています。なるべく避妊は早いほうが良いということですね。雌猫で避妊手術を実施した後の乳腺腫瘍の発生率を見てみると、避妊しない猫に比較して7分の1に減るそうです。不妊手術の時期は通常6か月齢から1歳未満と言われていますが国際猫医療協会(ISFM)では、生後6か月齢以内に避妊手術を行うことを推奨しているそうです。デメリットとして不妊手術後は太りやすくなることから注意が必要になります。私の個人的考えとしてはあまり早い時期ではなく成長のスピードが落ち着いてくる8~10か月齢前後が一つの目安かなと思っています。
愛玩動物として飼養する場合、不妊手術を行うことは単に子供を増やさないということだけでなく、将来高率に発生する病気を未然に予防する為にぜひ必要であることがお分かりになると思います。

4 皮膚病
色々な原因で皮膚がおかしくなりますが、その中で一般的に認められるかゆみがでる皮膚炎を説明したいと思います。その一つがアトピー性皮膚炎です。アレルゲンが皮膚から侵入して引き起こされる皮膚炎で腹部、顔面、指間、腋の下、鼠径部、耳介などに発赤や脱毛がみられかゆみが伴います。早ければ6か月齢頃から発症します。人と同じアレルゲンが考えられ、ダニの死骸や排泄物、花粉、化学薬品などによって引き起こされます。アレルゲンの特定は時間とお金がかかりますので、まずはシャンプーをして皮膚からアレルゲンを取り除きましょう。悪化するようでしたら動物病院でステロイド剤や抗ヒスタミン剤などを症状に合わせて処方してくれると思います。又サプリメントで「アンチノール猫用」という物が販売されています。私が実際に動物病院で治療を受けている脱毛した犬に効果があったのを確認していますが、残念ながら猫では実際の症例に出会っておらずまだ効果については未確認です。犬は嫌がらず食べますが、猫が食べるかどうか心配でしたのでウエットフードに混ぜて1か月間与えてみましたがちゃんと食べてくれました。ステロイド剤の長期間の使用は避けたいところですので、皮膚疾患でお困りの方はこのようなサプリメントを投与するのも一つかなと思います。
次にノミアレルギー性皮膚炎です。ノミに対するアレルギー反応で、頸や腰に粟粒のようなぶつぶつした丘疹や紅斑が見られ舐めることによって脱毛が進みます。症状はステロイド剤の投与で改善しますが、まずはノミが付かないように対策をしましょう。次に具体的な薬剤名を書いておきましたので参考にしてください。

5 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
「SFTSは通常、マダニに感染しているウイルスがヒトへ感染して起こる病気ですが、今回はマダニ→ネコ→ヒトのルートで感染したことがわかりました。又、飼育ネコや飼育イヌの血液や糞便からSFTSウイルスが分離されました。」との報道がありびっくりしました。人では発熱、食欲低下、下痢、嘔吐や神経症状、出血症状など認められ致死率が30%と言われています。犬や猫での症状についてはまだ詳しい報告はされていないようですが、発熱、衰弱、白血球と血小板の減少などが見られる可能性があるそうです。このようにひじょうに稀ではありますが猫もSFTSに感染することが確認されたわけです。
室内飼育の猫ではマダニ・ノミの付着はまず心配ないと考えられ我家の猫も安心していましたが、いつの間にか原因ははっきりしませんがノミがついてしまいました。前述したノミアレルギー性皮膚炎の予防も兼ね、私はノミ発見以後は定期的にノミ・マダニの駆除(マイフリーガードα猫用:フジタ製薬株式会社 フロントラインのジェネリックで値段が安くなっています。)【200円OFFクーポン&P3倍】●【ゆうパケット(ポスト投函)】【送料無料】マイフリーガードα猫用 3本入【動物用医薬品】【11/4(土)20:00〜11/9(木)1:59】を行っています。皆様の場合も室内飼育でしょうからまずは心配いりませんが、ノミ取用の櫛【ネコポス便対応】★即日発送対象 ペットグルーマー のみとりコーム 柄なしが売られていますので時々その櫛で毛を梳いてあげるとノミが付いたかどうかわかりますので、見つけたらすぐに駆除を行いましょう。
参考文献:国立感染症研究所HP、厚生労働省HP、厚生労働省発表資料「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に係る注意喚起について」(健感発0724第3号平成29年7月24日)、anicom you

その他
〇 予防注射について
猫の予防注射には、3種混合(猫汎白血球減少症 猫ウイルス性鼻気管炎 猫カリシウイルス感染症)、4種混合(3種に猫白血病ウイルス感染症が加わっています)、その他猫免疫不全ウイルス感染症や猫クラミジア感染症のワクチンがあります。3種混合に含まれる感染症の発生頭数は、届出伝染病ではないので統計数字はありませんが、動物病院での診断件数を調査(伴侶動物ワクチン懇話会調べ:確定診断及び疑いも含む 2013年9月~2015年8月 全国600の動物病院)したところ猫ウイルス性鼻気管炎が95.7%、猫カリシウイルス感染症が83.0%、猫汎白血球減少症が36.8%の動物病院で診断が行われていたことから、全国的にこれらの病気に感染した猫が少なからず存在していることが推定されます。これらの感染症は感染しても治癒する病気であり重篤になるケースは抵抗力の少ない子猫だとか合併症などの場合でありそれ程心配する症状(風邪、口内潰瘍、肺炎など、猫汎白血球減少症の下痢嘔吐は死亡率が高く注意)ではありませんが、周囲にこのような感染症の猫がいる現状を考えると基本的に予防できる(しかし感染を完全に防御することはできません)のならワクチン接種はしたほうが良いと考えています。がここで考えなくてはならない事は注射による副作用が大きな問題点として挙げられます。この副作用とは、元気食欲減退、疼痛、腫脹、発熱、嘔吐、下痢など一般的なものから注射部位に発生する肉腫、突然の痙攣発作を起こすアナフィラキシーショック反応(虚脱、血圧低下、呼吸促拍、呼吸困難、体温低下、流涎、震え、痙攣など)などがあり、犬ですが200頭に1頭の副作用が発生し、3万頭に1頭前後の割合(2007年日本小動物獣医師会調査)で死亡しています。この発生率は結構大きいと考えられます。これら副作用情報については農林水産省動物医薬品検査所の動物用医薬品副作用情報データベースでメーカー名や商品名を入力するとどのような副作用が発生しているかわかりますのでご参照ください。なお、私はこの副作用情報で一番死亡率が少ない3種混合のピュアバックスRCP(販売元:日本全薬工業株式会社)を選択使用しています。
こんな状況ですので、ワクチン接種をしたほうがよいかどうか悩むところでありますが、今現在私はワクチン接種により病状を軽減できることからなるべく少ない回数で予防するのがベター(感染リスクと副作用の発生リスクの兼ね合い)かなと考えています。日本獣医学会が推奨しているコアワクチン(猫汎白血球減少症 猫ウイルス性鼻気管炎 猫カリシウイルス感染症)のプログラムに近い生後8~9週齢で初回接種、その後3~4週後に2回目、その後の16週までは省き生後1年目に3回目、それからは3年後に接種と考えています。(室内飼育の場合)

各病気の参考図書:イヌ・ネコ家庭動物の医学大百科